コラム / 保護者の方へ

サッカーと塾・他の習い事は掛け持ちできるか?
小学生のスケジュールの組み方と、優先順位のつけ方

サッカーと塾・習い事の掛け持ちはできる?小学生のスケジュールの組み方

「スイミングと英語をやっている。ここにサッカーを足しても大丈夫だろうか」

「塾が始まったら、サッカーは辞めるべきなのか」

「気づいたら週5日、何かの習い事がある。これは多すぎないか」

小学生の習い事は、足すのは簡単ですが、減らすのは難しいという性質があります。本人が「やりたい」と言えば始めますが、辞めるときには気まずさや罪悪感が伴うからです。

この記事は、川越市で少年サッカークラブ(KUGEDO FC Junior)を運営する立場から、習い事の掛け持ちをどう考えるかを整理したものです。

関連記事との違い

サッカーと勉強は両立できる|文武両道を習慣には、サッカーと学習を両立させる仕組みの話です。本記事は、「そもそも何個まで持てるのか」という時間配分の判断に絞っています。

この記事でわかること

  • 小学生が無理なくこなせる習い事の量の考え方
  • 掛け持ちが破綻するときの前兆
  • 優先順位のつけ方(何を基準に選ぶか)
  • 学年別・時期別の考え方
  • 辞める判断をどうするか

先にお伝えします。「サッカーを優先すべきです」とは言いません。 ご家庭によって、優先すべきものは違うからです。この記事は判断の材料であって、結論の押し付けではありません。

1. 習い事は「何個まで」が適正か

個数ではなく、余白で考える

「週に何個までが適正か」という問いには、一律の答えはありません。子どもの体力、性格、通う距離、家庭の送迎体制——変数が多すぎるためです。

そこで、個数ではなく余白があるかどうかで判断することをおすすめします。具体的には、次の3つが確保できているかを見てください。

確保すべきものなぜ必要か
何もしない時間子どもが自分で遊びを決める時間。自主性が育つ場
睡眠時間小学生には十分な睡眠が必要。ここを削ると全部が崩れる
宿題・準備の時間慌ただしいと学習の質が落ちる

この3つを削らずに収まるなら、個数は問題になりません。逆に、どれかを削っているなら、個数に関わらず多すぎます。

よくある「週の埋まり方」

参考として、習い事が増えていく典型的なパターンを挙げます。

月:塾/火:サッカー/水:サッカー/木:英語/金:ピアノ/土日:サッカーの試合

これは週7日すべてが埋まっている状態です。数字上は「習い事4つ」ですが、実質的に休みがありません。

予定が埋まること自体が悪いわけではありません。 ただ、この状態で「疲れている様子がないか」「宿題が回っているか」は、注意して見る必要があります。

「実質時間」で数える

もう一つ、見落とされやすい点があります。習い事の負担は、レッスン時間だけでは測れないということです。たとえば「60分のピアノ教室」でも、実際には次の時間が発生します。

項目時間の目安
準備・着替え10分
移動(往復)30分
レッスン60分
家庭学習・練習毎日15〜30分
合計(週あたり)約3〜5時間

特に「家庭での練習が必要な習い事」は、実質時間が跳ね上がります。 楽器やそろばん、通信教育などがこれにあたります。

一方、サッカーのようなチーム競技は、家庭練習が必須ではありません(自主練は任意です)。同じ「週2回」でも、家庭に持ち帰る量が違うという点は、掛け持ちを考えるうえで重要です。

書き出してみると、「習い事3つ」が実質的に週15時間を占めていた、ということもあります。個数ではなく、実質時間の合計で見てください。

学年ごとの目安

厳密な基準はありませんが、判断の出発点として次のように考えるとよいでしょう。

学年考え方
小1〜小2体力の個人差が大きい。平日は多くて2〜3日が目安
小3〜小4学習量が増える時期。宿題が回るかを基準に
小5〜小6進路が絡む。本人が続けたいものに絞る時期

繰り返しますが、これは目安です。同じ学年でも、平気な子と疲れる子がいます。 数字より本人の様子を優先してください。

2. 掛け持ちが破綻するときの前兆

限界が近づくと、行動にサインが出ます。早めに気づけば、調整が効きます。

見逃したくないサイン

  • 朝、起きるのがつらそうな日が増えた
  • 「今日は行きたくない」と言う頻度が増えた
  • 宿題が後回しになり、就寝が遅くなっている
  • どの習い事も「楽しい」と言わなくなった
  • 週末に何もせずぼーっとしている時間が増えた
  • 忘れ物・準備の抜けが増えた
  • 表情が硬い、口数が減った

特に「どの習い事も楽しくない」という状態は、要注意です。一つひとつは好きだったはずのものが、量によって楽しめなくなっているサインかもしれません。

「頑張ればできる」で押し切らない

子どもは、親の期待を敏感に感じ取ります。「頑張れば続けられる」と言われれば、無理をしてでも続けようとします。しかし、無理をして続けた習い事は、そのもの自体を嫌いにさせてしまうことがあります。サッカーでも、勉強でも同じです。減らす判断は、逃げではなく調整です。

3. 優先順位のつけ方

減らすとなったとき、何を基準に選ぶか。判断軸を4つ挙げます。

軸① 本人がやりたいと言っているか

**最も重視したい軸です。親が「やらせたい」と思って始めたものと、本人が「やりたい」と言って始めたものでは、続ける意味が変わります。聞き方には工夫が必要です。「どれを辞める?」と聞くと、子どもは親の顔色をうかがいます。「どれが一番楽しい?」**から聞いてみてください。

軸② 積み上げ型か、いつでも再開できるか

習い事には性質の違いがあります。

タイプ例中断のしやすさ
積み上げ型楽器、英語、そろばん中断すると戻すのに時間がかかる
再開しやすい型スイミング、体操一定の期間を空けても戻りやすい
仲間型サッカー、野球などのチーム競技チームを離れると戻りにくい

サッカーのような**チーム競技は「仲間型」**です。技術は再開できても、チームの人間関係は一度離れると戻りにくいという性質があります。これは「だから辞めるな」という話ではなく、判断材料として知っておくべきことです。

軸③ 何を育てたいか

習い事は「技術を身につける場」であると同時に、何かを育てる場でもあります。個人で完結する力を伸ばしたいのか、仲間との関わりの中で育つ力を伸ばしたいのか、継続する力を育てたいのか——ここはご家庭の価値観によります。正解はありません。

軸④ 送迎が回るか

現実的な軸です。**続けられなければ意味がありません。**送迎の負担については共働き家庭でも少年サッカーは続けられるか?で詳しく整理しました。

4. よくある組み合わせパターンと、注意点

実際にどう組んでいるご家庭が多いのか。代表的なパターンと、それぞれの注意点を挙げます。

パターンA:サッカー+スイミング

最も多い組み合わせの一つです。どちらも体を動かすため、体力面での相乗効果を期待される方が多くいます。

注意点:疲労が重なりやすい組み合わせです。特に週末に試合があると、体の回復が追いつかないことがあります。平日にスイミング、週末にサッカーという形なら、間隔が空いて負担が分散します。

パターンB:サッカー+塾

学年が上がるにつれて増える組み合わせです。

注意点:曜日の衝突が起こりやすくなります。塾は学年が上がると日数が増えるため、将来の日程まで見て判断してください。「今は大丈夫でも、5年生になると週3日になる」というケースは珍しくありません。

また、塾のある日にサッカーの疲れを持ち込むと、学習の質が落ちます。曜日を分けられるかがポイントです。

パターンC:サッカー+楽器(ピアノなど)

性質が大きく異なる組み合わせです。体を使うものと、集中して座るもの。バランスとしては良い面があります。

注意点:楽器は毎日の家庭練習が前提になることが多く、実質時間が大きくなります。サッカーで帰宅が遅い日に、練習時間を確保できるかを確認してください。

パターンD:サッカー+英語

注意点:英語教室は週1回が多く、比較的組みやすい組み合わせです。ただしオンライン英会話など毎日型の場合は、時間の確保が必要になります。

組み合わせで見るべきポイント

パターンを問わず、共通して確認したい点です。

  • 曜日が衝突していないか(今後の学年も含めて)
  • 疲労が重なる日がないか(激しい運動が連日にならないか)
  • 家庭練習が必要なものが2つ以上ないか
  • 送迎の方面がバラバラでないか(移動が増える)
  • どこかに「何もしない日」が残っているか

特に最後の項目は、意識しないと消えていきます。週に1日は予定のない日を残す——これを先に決めてから、習い事を当てはめる方法もあります。

5. 学年別・時期別の考え方

低学年(小1〜小2)

いろいろ試してよい時期と考えられます。何が好きかを本人が知る段階だからです。ただし、体力の個人差が大きい時期でもあります。同じ量でも、平気な子と疲れる子がいます。個数よりも、本人の様子を見てください。

何歳から始めるかについては少年サッカーは何歳から?ゴールデンエイジと始めどきにまとめています。

中学年(小3〜小4)

取捨選択が始まる時期です。学校の勉強も本格化し、時間が足りなくなってきます。このタイミングで「本人が続けたいもの」に絞る家庭が多くなります。話し合って決めるとよい時期です。

高学年(小5〜小6)

進路との関係が出てくる時期です。中学受験をするかどうかで、選択が大きく変わります。中学受験との両立については、別記事で扱っています。受験をしない場合は、中学以降も続けるかどうかが判断材料になります。チーム選びを見直す場合は今のチームに違和感を感じたら|移籍を考える前にも参考にしてください。

環境が変わる時期は、無理をしない

進級、引っ越し、下の子の入園など、生活が変わるタイミングでは、一時的に負荷が上がります。この時期に習い事を足すのは避け、落ち着いてから検討する方が安全です。

6. 「減らす」以外の選択肢

掛け持ちが厳しくなったとき、多くの方は「どれかを辞める」ことを考えます。しかし、選択肢はそれだけではありません。

選択肢① 頻度を落とす

週2回を週1回に。これだけで負担は半分になります。多くの習い事は、回数の調整に応じてくれます。「辞めるか続けるか」の二択で考える前に、相談してみてください。サッカーでも、週2回の練習のうち1回だけ参加するという形は珍しくありません。当クラブでもご相談いただければ対応します。

選択肢② 一時休止する

期間を区切って休む方法です。受験期の半年だけ休む、引っ越しの前後3ヶ月休む、下の子が生まれてしばらく休む——「辞める」と「続ける」の間に、「休む」があります。 復帰を前提にした休止なら、心理的な負担も軽くなります。ただし、チームによっては休会制度の有無や在籍の扱いが異なります。事前に確認してください。

選択肢③ 送迎の負担を減らす

習い事の数はそのままに、送迎の負担だけを減らす方法もあります。送迎を分担する(家族・祖父母)、同じ方面の家庭と相乗りする、より近い教室に変える(同じ種目で)——「多すぎる」と感じている原因が送迎の負担なら、習い事を減らさずに解決できる可能性があります。

選択肢④ 季節で調整する

時期によって量を変えるという考え方です。夏休みは多め、学期中は少なめ、試合期は他を減らす、受験期だけ絞る——年間を通じて同じ量である必要はありません。繁忙期と閑散期をつくる発想です。

まず「何がきついのか」を特定する

減らす前に、負担の正体を特定してください。

きつさの正体対応
送迎が回らない分担・相乗り・近い教室へ
子どもが疲れている頻度を落とす/曜日を分散
宿題が回らない曜日の組み替え/一時休止
費用がきつい優先順位をつけて絞る
親が疲弊しているこれが最も重要。減らす判断を

原因によって、打つ手が違います。 「多いから減らす」と短絡せず、どこが詰まっているのかを見てください。

7. 辞める判断と、その伝え方

辞めることは失敗ではない

「一度始めたら続けるべき」という考え方があります。継続の価値は確かにあります。ただし、無理をして続けることと、続ける力を育てることは違います。限界を超えた状態で続けさせると、そのもの自体を嫌いになるという代償が生じます。それは「続けた」ことにはなりません。

本人と話す

減らすと決めたら、本人と話してください。どれが一番楽しいか、どれがしんどいか、どうしたいか——親が一方的に決めると、納得しないまま続く/辞めることになります。話し合って決めたことは、本人が引き受けやすくなります。

辞め方にも配慮を

チーム競技の場合、仲間との別れが伴います。急に行かなくなるのではなく、コーチや仲間に伝える機会を持てるとよいでしょう。**「また戻ってきてもいい」**と伝えられる環境なら、子どもの心理的な負担は軽くなります。

8. サッカーを「学習と一緒に」考えるという選択肢

ここからは、私たちの取り組みの紹介になります。参考としてお読みください。

掛け持ちの負担は「移動」で生まれる

習い事が多いと感じる原因の多くは、別々の場所へ、別々の日に通うことにあります。

  • 月曜は塾へ
  • 火曜はサッカーへ
  • 木曜は英語へ

移動と準備が、そのたびに発生します。 実際の活動時間より、付随する時間の方が長いこともあります。

KUGEDO FC Junior の場合

私たちは、練習前に勉強1時間の時間を設けています(有志)。進学校の高校生メンターが学習をサポートします。これは「学習塾の代わり」ではありませんが、同じ場所・同じ日に、学習の時間も確保できるという形です。移動を増やさずに、机に向かう習慣をつくる試みです。

詳しくはサッカーと勉強は両立できる|文武両道を習慣にをご覧ください。

正直にお伝えすること

  • 有志です。参加は任意で、サッカーだけの参加も歓迎します
  • 学習塾ではありません。受験指導は行っていません
  • 効果を保証するものではありません。習慣づくりの場とお考えください

基本情報

対象小学1年生〜6年生
活動場所川越東高校 第一グラウンド(埼玉県川越市久下戸6060)/駐車場あり
活動日火・水 19:00〜20:30/土・日 18:00〜19:30
月会費12,000円
保護者当番なし(送迎のみ)
人数各学年15名まで(現在は受け入れに余裕があります)
無料体験3回まで/見学のみでもOK
代表山谷和紀(早稲田大学 先進理工学部卒/JFA公認B級コーチ/川越東高校サッカー部 コーチングスタッフ)

よくある質問

習い事はいくつまでが適正ですか?

一律の答えはありません。睡眠・宿題・何もしない時間が確保できているかで判断してください。確保できていれば個数は問題になりません。

塾と両立できますか?

ご家庭の状況によります。当クラブは火・水の夜と土日の活動なので、塾の曜日次第では両立している方もいます。まずは曜日を照らし合わせてみてください。

週1回だけの参加は可能ですか?

ご相談ください。無理のないペースで始める方が、続きます。

途中で辞めることになっても大丈夫ですか?

問題ありません。合わなければ続ける必要はありません。戻ってきていただくことも歓迎します。

他の習い事と重なる日はどうすればいいですか?

欠席していただいて構いません。保護者当番がないため、休むことで他のご家庭に負担がかかることはありません。

勉強の時間は必ず参加しなければいけませんか?

有志です。サッカーのみの参加でまったく問題ありません。

掛け持ちで疲れている様子です。どうすべきでしょうか。

まずはお子さんに「どれが一番楽しいか」を聞いてみてください。そのうえで、睡眠時間が削られていないかを確認してください。ここが崩れている場合は、量の見直しをおすすめします。

まとめ——足す前に、余白を確認する

サッカーと他の習い事を掛け持ちできるかどうかは、個数ではなく余白で判断できます。

  1. 睡眠・宿題・何もしない時間が確保できているかを見る
  2. 破綻の前兆(起床のつらさ・行きたがらない・どれも楽しくない)に早く気づく
  3. 優先順位は本人の「やりたい」を軸に、性質の違い(積み上げ型/仲間型)も踏まえる
  4. 学年と生活の変化に合わせて見直す
  5. 減らす判断は逃げではなく調整。本人と話して決める

習い事は、多ければ多いほど良いものではありません。子どもが「楽しい」と感じられる量に収めることが、結果として長く続く道になります。

そして、辞めることを失敗と捉えないでください。 合わなかった、量が多かった——それは調整すべき情報であって、子どもの失敗ではありません。

クラブ選びの視点全般については川越の少年サッカークラブの選び方|後悔しない5つの視点にまとめています。

山谷和紀

KUGEDO FC Junior 編集部

監修: 代表 山谷和紀/川越東高校サッカー部 コーチングスタッフ

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