コラム / 保護者の方へ
サッカーの練習を休みたがる日、どうするか
行かせる・休ませるの判断と、理由の見分け方

「今日はサッカー行きたくない」
支度の時間になって、子どもがこう言い出す。急いでいるときほど、この一言に困ります。
「行けば楽しくなるはず」と送り出すべきか。「疲れているのかも」と休ませるべきか。
この記事は、川越市で少年サッカークラブ(KUGEDO FC Junior)を運営する立場から、「今日は行きたくない」と言われたときの考え方を整理したものです。
📌 関連記事との違い
「子どもがサッカーを辞めたいと言ったら」の記事では、続けるかどうかという長期の判断を扱っています。本記事は、**単発の「今日は休みたい」**にどう対応するかに絞っています。
この記事でわかること
- 「行きたくない」の裏にある、いくつかの理由
- 休ませてよい場合/促してよい場合の判断軸
- 聞き方のコツ(問い詰めない)
- やってはいけない対応
- 繰り返す場合に確認すること
先にお伝えします。「必ず行かせましょう」とも「休ませましょう」とも書きません。 理由によって答えが変わるからです。この記事の役割は、理由を見分けるための材料を示すことです。
1. まず知っておきたいこと
「行きたくない」は珍しくない
まず前提として、小学生が「行きたくない」と言うのは、まったく珍しいことではありません。毎回楽しみに通っている子でも、疲れている日、気分が乗らない日はあります。一度言ったからといって、深刻に受け止めすぎる必要はありません。ただし、繰り返す場合は理由を探る必要があります。この違いを見分けることが、対応の出発点です。
反射的に反応しない
多くの保護者の方が、この一言に焦りを感じます。
- 「休み癖がついたらどうしよう」
- 「せっかく続けてきたのに」
- 「他の子は行っているのに」
こうした焦りから、つい**「行きなさい」と即答**してしまうことがあります。しかし、その一言で理由を聞く機会が失われます。まずは一呼吸置いて、「どうしたの?」と聞いてみてください。
「理由が言えない」ことも多い
小学生は、自分の気持ちを正確に言葉にできないことがあります。「なんとなく」「別に」——こうした答えが返ってきても、嘘をついているわけではありません。本人にも分かっていないことが多いのです。その場合は、問い詰めるより周辺の情報から推測するほうが現実的です。
2. 「行きたくない」の主な理由
理由はいくつかのパターンに分かれます。それぞれ対応が変わります。
① 疲れている・体調が優れない
最も多く、最も見落とされやすい理由です。
- 学校で疲れた
- 前日の睡眠が足りない
- 暑さ・寒さで消耗している
- 体調を崩しかけている
小学生は「疲れた」を自覚しにくく、「行きたくない」という形で表れることがあります。確認方法:顔色、食欲、朝の起き方、前日の就寝時刻。体のサインが出ていないかを見てください。
② 気分が乗らない(一時的)
特に理由はないが、その日だけ気が進まない——というケースです。
- 家で遊んでいる途中だった
- 友達と約束していた
- テレビやゲームの続きが気になる
これは一時的なものです。 声のかけ方次第で切り替えられることが多く、深刻ではありません。
③ 練習でうまくいっていない
言葉にしにくい理由です。
- 前回ミスをして気まずい
- できないことがあって嫌になった
- 上手い子と比べて落ち込んでいる
この場合、**「行きたくない」の裏に「うまくできない自分を見たくない」**という気持ちがあります。伸び悩みを感じている段階についてはサッカーが上手くなる小学生の共通点も参考にしてください。
④ 人間関係の問題
チームメイトとうまくいっていない、特定の子とトラブルがあった、仲の良い子が辞めてしまった——子どもは人間関係の悩みを親に言いません。 心配をかけたくない、告げ口になると思う——理由はさまざまです。「誰と一緒に練習してるの?」など、人の話題から入ると情報が出てくることがあります。
⑤ 指導者との関係
怒られたことが尾を引いている、指導者が怖い、自分だけ厳しくされていると感じている——この理由は特に注意が必要です。 一時的なものならよいのですが、継続する場合は環境の問題である可能性があります。
⑥ 別のことをやりたい
興味が移っているケースです。これは悪いことではありません。 小学生の興味は変わります。無理に続けさせるより、本人と話し合うほうが建設的です。
3. 休ませてよい場合・促してよい場合
判断の目安を整理します。ただし絶対的な基準ではありません。ご家庭の状況とお子さんの性格に合わせてお読みください。
休ませてよい場合
- 体調のサインがある(顔色、食欲、体温)
- 睡眠が明らかに足りていない
- 最近、予定が詰まっていて疲労が蓄積している
- 本人が理由を説明でき、それが納得できる内容
- 学校や家庭で別のストレスがかかっている時期
体調に関わる場合は、迷わず休ませてください。 無理をして参加してケガをするほうが損失は大きくなります。
促してみてよい場合
- 体調は問題なさそう
- 直前まで元気に遊んでいた
- 理由が「なんとなく」「面倒くさい」程度
- 前回は楽しそうに帰ってきた
- 行ってしまえば楽しめるタイプ
この場合、**「とりあえず着替えてみようか」**程度の声かけで動くことがあります。ただし、強制はしないでください。 促してみて、それでも嫌がるなら休ませる——という順序が安全です。
判断に迷ったら
迷ったときは、休ませてかまいません。 1回休んだことで失われるものは、ほとんどありません。逆に、無理に行かせて嫌な記憶が残るほうが、長期的な損失になります。「今日は休んで、次は行こうか」——この形で十分です。
4. 聞き方のコツ
理由を聞き出したいとき、聞き方によって出てくる情報が変わります。
❌ 避けたい聞き方
「なんで行きたくないの?」
一見自然ですが、「なんで」は詰問に聞こえます。子どもは責められていると感じ、口を閉ざすことがあります。
「行きたくないなら辞める?」
これは脅しに近い聞き方です。本人は「そこまでじゃない」と思っていても、極端な選択を迫られると答えられません。
「みんな行ってるよ」
比較は逆効果です。自分だけが我慢できていないと感じさせます。
✅ 試してみたい聞き方
「今日はどうしたの?」
理由ではなく状況を聞く形です。答えやすくなります。
「疲れてる?」
イエス・ノーで答えられる質問は、言語化が苦手な子でも答えられます。
「昨日の練習、どうだった?」
直接聞かず、前回の話から入る方法です。ここで表情が変われば、練習に関することだと分かります。
「行きたくない日、あるよね」
まず共感を示す言葉です。否定されないと分かると、話しやすくなります。
沈黙を待つ
質問したあと、すぐに次の言葉を続けないでください。子どもが考える時間が必要です。3秒、5秒と待つと、ぽつりと話し始めることがあります。間を埋めようとしないことがポイントです。
5. やってはいけない対応
正直に書きます。良かれと思った対応が、事態を悪くすることがあります。
❌ 罪悪感を持たせる
「お金払ってるんだよ」「コーチが待ってるよ」「お母さん送っていくのに」——これらは子どもに責任を負わせる言葉です。休むことが「悪いこと」になり、次から言い出せなくなります。言い出せなくなると、本当に深刻な問題も隠すようになります。
❌ 理由を問い詰める
「ちゃんと理由を言いなさい」——言語化できないことを責めると、子どもは追い詰められます。言えないことのほうが多いと考えてください。
❌ 他の子と比べる
「〇〇くんは毎回行ってるよ」——比較は自信を削ります。この点は少年サッカーで親がやってはいけない声かけで詳しく扱いました。
❌ 無理やり連れて行く
泣いている子を車に乗せて連れて行く——という対応です。その日は参加できたとしても、サッカーが嫌な記憶と結びつきます。長期的には逆効果になりやすい対応です。
❌ 休んだことを後で責める
「昨日休んだから下手になったんじゃない?」——これは最も避けたい言葉です。休むこと自体を罰にしてしまいます。
6. 繰り返す場合に確認すること
1回や2回なら心配いりませんが、続く場合は理由を探る必要があります。
頻度と時期を記録する
まず、いつ・どれくらいの頻度で言うかを把握してください。
| 確認すること | 見えてくること |
|---|---|
| 特定の曜日に偏っていないか | その日の練習内容や、疲労の蓄積 |
| 試合の前後に多くないか | プレッシャーや、出場機会の問題 |
| 学校行事と重なっていないか | 一時的な疲労の可能性 |
| 特定の時期から始まったか | 何かのきっかけがあった可能性 |
記録すると、パターンが見えます。 印象で判断するより確実です。
練習の様子を見に行く
可能なら、一度練習を見学してみてください。
- 子どもの表情はどうか
- 指導者の声がけはどうか
- チームメイトとの関係はどうか
- ミスをしたときの周りの反応は
言葉では分からないことが、見れば分かることがあります。
指導者に相談する
遠慮せず相談してください。 指導者は普段の様子を見ています。家庭では見えない情報が得られるはずです。「最近、行きたがらない日があるのですが、練習中の様子はどうですか」——この程度の聞き方で構いません。相談を歓迎しないチームであれば、それ自体が判断材料になります。
環境の問題が疑われる場合
次のような様子が見られる場合は、慎重な確認が必要です。
- 特定の人の名前を出すと表情が変わる
- 体に不自然なあざがある
- 「怖い」という言葉が出る
- 眠れない、食べられないなどの症状がある
この場合、クラブ内だけで解決しようとしないでください。 学校の先生、スクールカウンセラー、自治体の相談窓口など、第三者に相談することをおすすめします。判断に迷う状況こそ、外部の目が役に立ちます。
環境を変える選択肢
家庭でできることをやっても改善しない場合、環境そのものを見直す選択肢があります。ただし移籍は負担も伴うため、判断基準を持って検討してください。詳しくは今のチームに違和感を感じたら|移籍を考える前ににまとめています。
7. 学年によって「行きたくない」の意味は変わる
同じ言葉でも、学年によって背景が異なります。
低学年(小1〜小2)——体力と気分が大半
この時期の「行きたくない」は、疲労か、その場の気分であることがほとんどです。深い理由がないことが多く、声のかけ方で切り替わることも珍しくありません。「着替えだけしてみようか」で動くのはこの年代です。一方で、体力の個人差が大きい時期でもあります。週の予定が詰まっていないかを確認してください。学校だけでも疲れる子はいます。
中学年(小3〜小4)——できないことへの意識が出る
「うまくできない」という自覚が芽生える時期です。前回できなかったことを引きずる、上手い子と比べ始める、失敗を人に見られたくない——この年代の「行きたくない」は、技術の悩みであることが増えます。 「昨日の練習どうだった?」と前回の話から入ると、背景が見えてくることがあります。
高学年(小5〜小6)——人間関係と出場機会
理由が具体的になる時期です。チーム内の人間関係、試合に出られない状況が続いている、指導者との相性、別のことへの興味——この年代では、本人が理由を言語化できることが増えます。だからこそ、聞き方が重要になります。問い詰めず、話しやすい状況をつくってください。また、成長期に入る子が出てくる時期でもあります。体が急に変わると、思うように動けず気持ちが落ちることがあります。技術の問題ではないケースです。
共通して言えること
どの学年でも、「行きたくない」と言えること自体は健全です。言えない子ほど、抱え込みます。まずは言ってくれたことを受け止めてから、理由を考えてください。
8. 「休む」を仕組みで支える
そもそも、休みやすい環境かどうかが、この問題の背景にあります。
休みにくい構造とは
次のような仕組みだと、休むこと自体が難しくなります。
- 保護者当番があり、休むと他の家庭に負担がかかる
- 出席率が評価に影響する
- 休むと試合に出られなくなる
- 「休むなら連絡を」と言いながら、実際は責められる
この構造では、子どもも親も休めません。 結果として、無理を重ねることになります。
休みやすさは、続けやすさ
長く続けるためには、休める余地があることが実は重要です。
- 体調が悪い日は休める
- 家庭の予定を優先できる
- 休んでも責められない
こうした環境なら、無理なく6年間続けられます。逆に休めない環境では、どこかで限界が来ます。
確認しておきたい質問
クラブを検討する段階なら、見学時に聞いてみてください。
- 「急に休むことになった場合、どうなりますか」
- 「欠席が続いた場合、扱いは変わりますか」
- 「保護者が参加できない日があっても大丈夫ですか」
答え方に、そのクラブの姿勢が表れます。
9. KUGEDO FC Junior の考え方(参考として)
参考として、私たちの立場を記します。
休むことに制約はありません
欠席の連絡はお願いしていますが、休んだことで不利益が生じる仕組みにはなっていません。保護者当番がないため、休むことで他のご家庭に負担がかかることもありません。
「行きたくない」と言える関係を
子どもが「今日は行きたくない」と言えるのは、言っても大丈夫だと分かっているからです。これは悪いことではなく、信頼関係がある証拠だと考えています。言えない状態のほうが心配です。
怒鳴らない
ミスを咎めません。「ナイスチャレンジ、次はどうする?」と、失敗を次につなげる材料にします。萎縮した状態では、練習に行きたくなくなります。 安心して挑戦できる場であることを重視しています。
少人数で、一人ひとりを見る
各学年15名までとしています(現在は受け入れに余裕があります)。人数が多いと、様子の変化に気づきにくくなります。 少人数であることは、指導の質だけでなく、変化に気づくためでもあります。
基本情報
| 対象 | 小学1年生〜6年生 |
| 活動場所 | 川越東高校 第一グラウンド(埼玉県川越市久下戸6060)/駐車場あり |
| 活動日 | 火・水 19:00〜20:30/土・日 18:00〜19:30 |
| 月会費 | 12,000円 |
| 保護者当番 | なし(送迎のみ) |
| 無料体験 | 3回まで/見学のみでもOK |
| 代表 | 山谷和紀(早稲田大学 先進理工学部卒/JFA公認B級コーチ/川越東高校サッカー部 コーチングスタッフ) |
よくある質問
一度休ませると、休み癖がつきませんか?
多くの場合、そうはなりません。理由があって休んだなら、次は行けることがほとんどです。ただし、休むことが「嫌なことからの逃げ道」になっている場合は、原因を探る必要があります。頻度と時期を記録してみてください。
「行きたくない」と言われたら、必ず理由を聞くべきですか?
聞いてみる価値はありますが、言えないことも多いと考えてください。問い詰めると逆効果です。イエス・ノーで答えられる質問から入ると答えやすくなります。
行けば楽しそうにしています。それでも休ませるべきですか?
そのタイプなら、軽く促してみる価値はあります。「とりあえず着替えてみようか」程度で構いません。ただし強制はしないでください。
指導者に相談するのは気が引けます。
遠慮する必要はありません。指導者にとっても有益な情報です。「最近こういう様子がある」と伝えるだけでも構いません。
兄弟の片方だけ行きたがりません。
比較しないでください。兄弟でも感じ方は違います。それぞれ別の子として対応してください。
休んだ日、家で練習させるべきですか?
させないほうがよいことが多いです。休みたい理由が疲労なら、休養が必要です。「休むなら練習しなさい」は、休むことを罰にしてしまいます。
体験に行った日に「行きたくない」と言われました。
無理に連れて行く必要はありません。日を改めてください。体験は本人が「行ってみたい」と思ったときのほうが、正しく判断できます。
まとめ——理由によって、答えは変わる
「サッカーの練習を休みたがる日」への対応を整理します。
- 反射的に「行きなさい」と言わない(理由を聞く機会が失われる)
- 体調のサインがあれば休ませる(無理は損失のほうが大きい)
- 聞き方を変える(「なんで」ではなく「どうしたの」)
- 罪悪感を持たせない(言い出せなくなる)
- 繰り返す場合は記録し、様子を見に行く
そして、判断に迷ったら休ませて構いません。 1回休んだことで失われるものは、ほとんどありません。それより、「休みたい」と言える関係を保つことのほうが、長い目では価値があります。
言えない子は、本当に深刻な問題も抱え込みます。「今日は行きたくない」と言ってくれることは、信頼されている証拠でもあるのです。
長期的に続けるかどうかの判断は今のチームに違和感を感じたら|移籍を考える前にに、クラブ選びの視点は川越の少年サッカークラブの選び方|後悔しない5つの視点にまとめています。

KUGEDO FC Junior 編集部
監修: 代表 山谷和紀/川越東高校サッカー部 コーチングスタッフ



