コラム / 保護者の方へ
夏休みにサッカーが上手くなる子の過ごし方
練習量より効く「生活リズム」と、家でできること

夏休みに入ると、こう考える保護者の方は多いはずです。
「時間があるうちに、何かさせたほうがいいのだろうか」
「他の子は自主練をしているのだろうか」
「せっかくの40日、無駄にしたくない」
一方で、こういう現実もあります。
「暑すぎて外に出せない」
「本人がやりたがらない」
「こちらも仕事があって、付き合えない」
この記事は、川越市で少年サッカークラブ(KUGEDO FC Junior)を運営する立場から、夏休みという期間をどう使うかを整理したものです。
この記事でわかること
- 夏休みに差がつく本当の理由(練習量ではありません)
- 生活リズムが技術に与える影響
- 家でできること・やらなくていいこと
- 「やりすぎ」のサインと、その見極め方
- 2学期の入りで失速しないための準備
先にお伝えします。「夏休みに毎日3時間練習しましょう」という記事ではありません。 そう書くほうが分かりやすいのですが、小学生にとってそれが正解とは限らないからです。
1. 夏休みに差がつく理由は、練習量ではない
40日で技術は劇的には変わらない
まず現実的な話をします。40日間で、目に見えて技術が変わることは多くありません。
サッカーの技術習得は階段状に進むことが知られています。ある日突然できるようになる時期もあれば、何ヶ月も変化が見えない時期もあります。夏休みという区切りが、その階段のどこに当たるかは分かりません。
つまり、「夏休みに集中的にやれば上達する」という前提自体が、必ずしも正しくありません。
では、何が差になるのか
私たちが見ている限り、夏休み明けに違いが出るのは次の2点です。
① 生活リズムが崩れなかったか
夏休みは、就寝・起床・食事のリズムが崩れやすい期間です。ここが崩れた子は、2学期に入ってから練習に集中できない状態が数週間続きます。技術以前に、体が動かないのです。
② サッカーを嫌いにならなかったか
「せっかくの夏休みだから」と練習量を増やし、サッカーが義務になってしまうケースがあります。この状態で2学期に入ると、練習への向き合い方が変わってしまいます。
**夏休みは、伸ばす期間というより「崩さない期間」**と捉えるほうが実態に近いと考えています。
「何もしない」も一つの選択
意外に思われるかもしれませんが、何もしない夏休みが悪いわけではありません。
- 家族と過ごす
- 別の遊びをする
- ゆっくり休む
こうした時間は、サッカーから少し離れることで「またやりたい」を取り戻す期間になります。特に春から夏にかけて試合が続いていた場合、休養の価値は高くなります。
2. 生活リズムを保つ、現実的な方法
「早寝早起きをしましょう」と書くのは簡単ですが、夏休みにそれを完璧に守るのは難しいものです。優先順位をつけて、崩れ方を最小限にするという考え方をおすすめします。
守る優先順位
| 優先度 | 項目 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 起床時刻 | ここが崩れると全部が後ろにずれる |
| 2 | 就寝時刻 | 起床が保てれば自然に整いやすい |
| 3 | 食事の時間 | 特に朝食を抜かない |
| 4 | 学習時間 | 短くても毎日同じ時間帯に |
最も守りたいのは起床時刻です。就寝が多少遅れても、起床さえ一定なら戻せます。逆に起床が崩れると、就寝も食事も学習も、すべてが後ろにずれていきます。
「学校がある日の+1時間」までを目安に
現実的なラインとして、普段の起床時刻+1時間以内に収めることを目安にしてはいかがでしょうか。普段6時半起きの子なら、夏休みは7時半まで。これなら2学期に戻すのが大きな負担になりません。
完璧を目指さないことが続けるコツです。旅行や帰省の日は崩れて構いません。翌日から戻せば大丈夫です。
昼寝は「時間帯」に注意
暑い時期は昼寝も有効ですが、夕方まで寝てしまうと夜に響きます。
- 昼食後〜15時ごろまでに
- 長くても1時間程度
これくらいなら、夜の睡眠に影響しにくいと言われています。
3. 家でできること・やらなくていいこと
やる価値があること
① ボールに触る時間を「短く・毎日」
30分を週2回より、10分を毎日のほうが感覚は保たれやすいと考えられます。暑い時期は屋外での長時間練習が難しいので、室内でできる短時間のボールタッチが現実的です。具体的なメニューは家でできる自主練メニューと親のサポートにまとめました。
② 試合を見る
意外に効くのが観戦です。プロの試合でも、高校生の試合でも構いません。見るときは「上手いね」で終わらせず、**「今、なんでそっちにパスしたと思う?」**と聞いてみてください。判断を言語化する練習になります。ただし、本人が見たがらないなら無理にさせないでください。 押しつけると逆効果です。
③ 体を動かす(サッカー以外でも)
水泳、自転車、鬼ごっこ——サッカー以外の運動も価値があります。小学生年代は特定の動きだけを繰り返すより、多様な動きを経験するほうが良いという考え方が一般的です。夏休みは、それを試せる時期でもあります。
やらなくていいこと
❌ 毎日長時間の自主練
暑い時期に長時間やることは、上達より熱中症のリスクのほうが大きくなります。水分補給と休憩をこまめに取り、無理をさせないでください。
❌ 親が付きっきりで教える
良かれと思っての行動ですが、指示が増えると自分で考える機会が減ります。この点は少年サッカーで親がやってはいけない声かけで詳しく扱いました。
❌ 他の子と比べる
「〇〇くんは毎日練習してるらしいよ」——これは最も避けたい言葉です。夏休みは特に、周りの情報が入ってきやすい時期なので注意してください。
4. 学年別・夏休みの過ごし方
同じ夏休みでも、学年によって重心が変わります。
低学年(小1〜小2)——「好き」を育てる時期
この時期は、技術より「サッカーが楽しい」という記憶を積むことが優先です。
公園でボールを蹴るだけで十分、家族と一緒に遊ぶ形が理想的、「練習」という形にしなくてよい——低学年で詰め込むと、高学年で息切れします。 この時期に燃え尽きさせないことが、6年間続けるための土台になります。
体力の個人差も大きい時期です。同じ量でも平気な子と疲れる子がいるので、周りに合わせず本人の様子を基準にしてください。
中学年(小3〜小4)——習慣がつく時期
自分から取り組む習慣が育ち始める時期です。「毎日10分」など本人が決められる形にする、続いたことを認める(結果ではなく継続を)、できなかった日を責めない——ここで大切なのは、親が管理しないことです。「今日やった?」と毎日確認すると、それは本人の習慣ではなく親の管理になります。自分で決めて、自分で続ける——この経験そのものに価値があります。詳しくはサッカーが上手くなる小学生の共通点で扱いました。
高学年(小5〜小6)——目的を持てる時期
何のためにやるかを、本人が言語化できる時期です。「左足で止められるようになりたい」など具体的な目標、試合を見て真似したいプレーを探す、中学以降を意識し始める子も——一方で、成長期に入る子が出てくる時期でもあります。急激に身長が伸びると、体の使い方が一時的にうまくいかなくなることが知られています。この時期に「調子が落ちた」と感じても、技術の問題ではないことがあります。焦って練習量を増やすと、かえって体に負担がかかります。
学年に関係なく共通すること
どの学年でも、本人が「やりたい」と言っていない練習は身につきにくいという点は変わりません。夏休みは時間があるぶん、親主導になりやすい期間です。主語が「本人」になっているかを、ときどき確認してみてください。
5. 「やりすぎ」のサインを見逃さない
夏休みは時間があるぶん、気づかないうちに負荷が高くなることがあります。
体のサイン
- 膝やかかとを痛がる(成長期は特に注意)
- 朝、起きるのがつらそう
- 食欲が落ちている
- 練習後にぐったりしている時間が長い
特に膝の痛みは要注意です。小学校高学年から中学生にかけては、成長に伴う痛みが出やすい時期です。「そのうち治る」と放置せず、痛みが続く場合は医療機関にご相談ください。
心のサイン
- 「今日は休みたい」と言う日が増えた
- ボールに触りたがらなくなった
- サッカーの話をしなくなった
これらが出たら、量を減らしてください。 「せっかくの夏休みだから」と続けると、サッカーそのものが嫌になります。
休むことは後退ではない
数日休んでも、技術は落ちません。むしろ休養によって次の伸びが生まれることがあります。「休ませたら、他の子に置いていかれる」という不安は分かりますが、疲れた状態で続けるほうが、長い目では損になります。
6. 夏休みは「クラブを見比べる」好機でもある
意外に見落とされがちですが、夏休みはクラブ選びに適した時期です。
なぜ夏休みが適しているのか
① 時間の余裕がある
学期中は、平日夜に体験へ行くのは大変です。夏休みなら日中に動けるご家庭も多く、複数のクラブを比較しやすくなります。
② 移動時間を実測できる
特に少し離れたクラブを検討する場合、実際に走ってみて所要時間を確かめられるのは大きな利点です。ただし注意点があります。夏休みの日中と、学期中の平日夕方では、道路状況がまったく異なります。可能なら平日の夕方に一度試してください。通学圏を判断するときの基本です。
③ 子ども自身が判断しやすい
学校の疲れがない状態で体験に行くと、本人が純粋に「楽しいか」を判断できます。学期中の疲れた状態では、正しく判断できないことがあります。
見るべきポイント
夏の体験では、指導者が暑さにどう対応しているかが見えます。
- 給水の頻度は十分か
- 日陰での休憩を取っているか
- 「気合いで乗り切れ」と言っていないか
- 体調不良の子への対応はどうか
安全管理の姿勢は、そのままクラブの姿勢です。 夏だからこそ分かる部分があります。
焦って決めない
一方で、夏休み中に決めなければいけない理由はありません。「今なら入会金無料」といった期限を示されても、急いで決める必要はないというのが正直なところです。複数見て、9月から始めるという選択でも遅くありません。クラブ選びの視点全般は川越の少年サッカークラブの選び方|後悔しない5つの視点にまとめました。
7. 暑い時期の練習で、親が知っておきたいこと
技術の話とは別に、夏に必ず押さえておきたい安全面を簡潔に整理します。
時間帯を選ぶ
真夏の日中(11時〜15時ごろ)は、屋外での運動に適しません。早朝か、夕方以降にずらすだけで負担は大きく変わります。
- 早朝:涼しいが、朝食を摂ってから動く
- 夕方:日が傾いてから。ただし地面の熱は残っている
アスファルトや人工芝は、気温以上に熱を持ちます。 気温だけで判断せず、地面の状態も見てください。
水分は「飲ませ方」が大事
「たくさん飲ませる」だけでは不十分です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| タイミング | 喉が渇く前に。15〜20分おきが目安 |
| 量 | 一度に大量ではなく、少量をこまめに |
| 中身 | 大量に汗をかく日は水だけにしない |
| 開始前 | 出発前にも飲んでおく |
汗を大量にかく状況では、水分だけでなく塩分の補給も必要になります。市販の経口補水液やスポーツドリンクを活用してください。
見逃してはいけないサイン
次の様子が見られたら、すぐに涼しい場所へ移してください。
- 顔が赤い、または逆に青白い
- 「気持ち悪い」「頭が痛い」と言う
- 動きが明らかに鈍い
- 汗が出なくなっている(特に危険)
最後の項目は緊急性が高いとされています。判断に迷う場合は、様子を見ずに医療機関へご相談ください。
「頑張らせない」勇気
夏の練習で最も大切なのは、無理をさせないことです。子どもは「休みたい」と言い出しにくいものです。特に周りが続けていると、自分だけ抜けることをためらいます。大人が先回りして止める必要があります。「今日は暑いから短めにしよう」と親が言えることは、子どもを守ることにつながります。
8. 2学期の入りで失速しないために
夏休みの終盤にやっておくと、9月がスムーズになることがあります。
最後の1週間で戻す
夏休みが終わる1週間前から、少しずつ生活リズムを戻す方法があります。
| 日 | 起床 |
|---|---|
| 終了7日前 | いつもより30分早く |
| 終了4日前 | さらに15分早く |
| 終了2日前 | 学校がある日と同じ時刻 |
一気に戻すと体がついていきません。段階的に戻すのがポイントです。
練習に戻る前の準備
久しぶりに練習に戻ると、思った以上に体が動きません。ケガをしやすいのはこのタイミングです。
- 再開の2〜3日前から軽く体を動かす
- 初日は無理をしない
- スパイクのサイズが合っているか確認する(夏の間に足が大きくなっていることがあります)
最後の項目は見落とされがちです。成長期の子どもは数ヶ月で靴のサイズが変わります。サイズが合わないスパイクはケガの原因になるので、再開前に確認してください。
9月は「戻す期間」と割り切る
夏休み明けにいきなり調子が上がることは、あまりありません。9月は元の状態に戻す期間と考えて、焦らないでください。ここで「夏休みに練習しなかったから」と責めるのは、逆効果です。
9. KUGEDO FC Junior の夏の考え方(参考として)
参考として、私たちがどう考えているかを記します。
夏は「量」を追わない
暑い時期に長時間の練習を課すことはしません。安全が最優先です。その代わり、判断の質を意識した練習を行います。少人数のゲーム形式など、考える回数が多くなる内容です。
練習前の勉強1時間(有志)
夏休み中も、練習前に勉強の時間を設けています(有志)。進学校の高校生メンターが学習をサポートします。夏休みは生活リズムが崩れやすい時期なので、「決まった時間に机に向かう」機会があることには意味があると考えています。詳しくはサッカーと勉強は両立できる|文武両道を習慣にをご覧ください。
休むことに制約はありません
帰省や家族旅行で休むことは、まったく問題ありません。保護者当番がないため、休むことで他のご家庭に負担がかかる仕組みにはなっていません。
基本情報
| 対象 | 小学1年生〜6年生 |
| 活動場所 | 川越東高校 第一グラウンド(埼玉県川越市久下戸6060)/駐車場あり |
| 活動日 | 火・水 19:00〜20:30/土・日 18:00〜19:30 |
| 月会費 | 12,000円 |
| 保護者当番 | なし(送迎のみ) |
| 人数 | 各学年15名まで(現在は受け入れに余裕があります) |
| 無料体験 | 3回まで/見学のみでもOK |
| 代表 | 山谷和紀(早稲田大学 先進理工学部卒/JFA公認B級コーチ/川越東高校サッカー部 コーチングスタッフ) |
よくある質問
夏休みは毎日練習させたほうがいいですか?
必ずしもそうではありません。暑い時期は安全面のリスクがあり、また本人が望んでいない練習は身につきにくいためです。短時間を継続するほうが現実的です。
何もしないと下手になりますか?
40日程度で大きく落ちることは考えにくいです。ただし感覚は鈍ります。1日10分でもボールに触れておくと、戻りが早くなります。
暑くて外に出せません。
無理に出す必要はありません。室内でのボールタッチでも十分意味があります。涼しい時間帯(早朝・夕方)に短時間、という方法もあります。
サッカー以外の運動をさせてもいいですか?
むしろおすすめします。小学生年代では多様な動きを経験することに価値があると考えられています。
夏休み中に体験に行ってもいいですか?
歓迎します。時間に余裕がある夏休みは、複数のクラブを比較しやすい時期です。無料体験は3回まで、見学のみでも構いません。
膝を痛がります。休ませるべきですか?
痛みが続く場合は医療機関にご相談ください。成長期特有の痛みの可能性もあります。自己判断で「そのうち治る」と続けさせないことをおすすめします。
生活リズムが完全に崩れてしまいました。
終了1週間前から段階的に戻してください。一気に戻そうとせず、まず起床時刻から整えるのが現実的です。
まとめ——夏休みは「崩さない」期間
夏休みにサッカーが上手くなる子の過ごし方を整理します。
- 練習量より生活リズム(特に起床時刻を守る)
- 短く・毎日ボールに触る(10分でも意味がある)
- サッカー以外の運動も価値がある(多様な動きを経験する)
- やりすぎのサインを見逃さない(膝の痛み・行きたがらない)
- 終盤1週間でリズムを戻す(段階的に)
そして最も大切なのは、サッカーを嫌いにさせないことです。
40日で技術が劇的に変わることは多くありません。それより、9月に元気に練習に戻れる状態をつくることのほうが、長い目では価値があります。
「何もさせなかった」と焦る必要はありません。休んだ子が秋に伸びることは、珍しくないからです。
具体的な自主練メニューは家でできる自主練メニューと親のサポートに、クラブ選びの視点は川越の少年サッカークラブの選び方|後悔しない5つの視点にまとめています。

KUGEDO FC Junior 編集部
監修: 代表 山谷和紀/川越東高校サッカー部 コーチングスタッフ



