コラム / 保護者の方へ
逆足が使えない…サッカーの左右差をどう考えるか
焦って矯正する前に知っておきたいこと

「コーチに『両足使えるように』と言われた」「左足はまったく蹴れない」「右ばかり使うから、相手に読まれている」——サッカーを続けていると、逆足の問題が出てきます。そして多くの保護者の方が、家で何をさせればいいか分からず困ります。
この記事は、川越市で少年サッカークラブ(KUGEDO FC Junior)を運営する立場から、逆足をどう考えるかを整理したものです。
この記事でわかること
- なぜ左右差が生まれるのか
- 「両足使える」とはどの程度を指すのか
- 家でできること・できないこと
- 無理に矯正しないほうがよい理由
- 学年別の考え方
先にお伝えします。「両足を同じように使えるようにする」必要はありません。 プロ選手でも、多くは利き足のほうが得意です。目指すのは「同じレベル」ではなく、**「必要な場面で最低限使える」**という状態です。この違いを踏まえてお読みください。
1. なぜ左右差が生まれるのか
誰にでも利き足はある
左右差があること自体は、まったく普通のことです。 手に利き手があるように、足にも利き足があります。完全に左右対称の人はほとんどいません。利き足でボールを扱うほうが、正確に、強く、素早く操作できます。これは自然なことです。
使う機会の差が広げる
問題は、使う機会の差が時間とともに広がることです。
- 利き足のほうがうまくいく
- だから利き足を使う
- ますます利き足が上達する
- 逆足を使う機会が減る
この循環で差が開いていきます。 意識して逆足を使う機会を作らないと、差は縮まりにくくなります。
「使えない」の中身
「逆足が使えない」と言っても、実際には段階があります。
| 段階 | 状態 |
|---|---|
| 段階1 | 立つときの支えにしか使わない |
| 段階2 | 止めることはできるが、蹴れない |
| 段階3 | 短い距離なら蹴れる |
| 段階4 | パスは出せるが、強く蹴れない |
| 段階5 | ほぼ利き足と同じように使える |
多くの小学生は段階1〜3にいます。 段階5を目指す必要はありません。現実的な目標は、段階3〜4あたりです。
2. 「両足使える」の現実的な基準
プロ選手も左右差はある
トップレベルの選手でも、多くは利き足が明確にあります。 「両足使える」と評される選手も、細かく見れば利き足のほうが正確であることがほとんどです。つまり、「完全に同じ」を目指すのは現実的ではありません。
小学生年代での目標
現実的な目標を挙げます。
- 止める:どちらの足でも止められる
- 短いパス:逆足でも近くへ出せる
- 運ぶ:逆足側にもボールを置ける
この3つができれば、プレーの幅は大きく広がります。 「逆足でシュートを決める」「逆足でロングキック」——これらは、もっと先の段階です。
なぜ逆足が必要になるのか
そもそも、なぜ両足使えたほうがよいのでしょうか。理由は主に2つです。
① プレーの選択肢が増える
利き足しか使えないと、その足で扱える方向にしか行けません。相手はそれを読んで守ります。
② 相手に読まれにくくなる
「この子は右にしか行かない」と分かれば、守る側は簡単です。逆足が使えると、相手は両方に備える必要があります。
利き足を磨くことも大切
一方で、利き足をさらに伸ばすことにも価値があります。「両足そこそこ」より、**「利き足が武器になる」**ほうが、試合で活きることもあります。バランスの問題です。 逆足ばかりに時間を使って、利き足が伸びなくなっては本末転倒です。
3. 家でできる練習
⚠️ 前提:本人が「やりたい」と言っている場合に取り組んでください。押しつけると逆効果です。
① 逆足で止める
最も基本で、最も重要です。
- 壁に当てて、逆足で止める
- 家族に転がしてもらって止める
- 足裏、インサイドの両方で
「蹴る」より「止める」が先です。止められないボールは、蹴ることもできません。
② 逆足だけでボールタッチ
その場でボールに触れる練習です。
- 足裏で転がす
- インサイドで左右に動かす
- 逆足だけで10回、20回
回数より、丁寧さです。雑に速くやるより、確実に触れるほうが意味があります。
③ 逆足で短いパス
止められるようになったら、近くへ蹴る練習へ進みます。
- 壁から2〜3mの距離で
- 強く蹴らない
- 正確に当てることを優先
強く蹴ろうとすると、フォームが崩れます。まずは弱くても正確に、が原則です。
④ 逆足側にボールを置く
ドリブルのとき、意識して逆足側にボールを持つ練習です。
- コーンを逆足側に置いて回る
- 逆足でボールを運ぶ
具体的なメニューは家でできる自主練メニューと親のサポートも参考にしてください。
やらないほうがよいこと
❌ 逆足だけで長時間——飽きます。そして、利き足の練習時間が減ります。
❌ 逆足で強く蹴らせる——フォームが崩れ、ケガのリスクもあります。
❌ 親が細かく指導する——「そこは違う」と言い続けると、練習が嫌になります。この点は少年サッカーで親がやってはいけない声かけにまとめました。
4. 続けるための工夫
逆足の練習は、地味で、うまくいかず、面白くありません。 続けるための工夫が必要です。
「うまくいかなくて当然」と伝える
最初はまったくできません。 これを事前に伝えておくと、うまくいかなくても落ち込みにくくなります。「最初はできなくて普通だよ」——この一言があるだけで、続けやすくなります。
少量を毎日
30分を週1回より、5分を毎日のほうが効果的と考えられています。
- 練習前の5分
- お風呂前の5分
- 寝る前の3分
短くていいので、間を空けないことが大切です。
記録をつける
本人が管理する形で、記録を残す方法があります。
- 逆足でのタッチ回数
- 壁当てが続いた回数
- 「できた」と感じた日
親が管理しないでください。 本人が書く、本人が見る——この形が続きます。
できたら認める
変化は小さいので、見逃されがちです。 「前より止められるようになったね」「今の、逆足で出せたね」——具体的に伝えてください。 「うまくなったね」より届きます。
試合で使えたら大きく褒める
練習でできても、試合で使うのは怖いものです。試合で一度でも逆足を使ったら、結果に関係なく認めてください。ミスしても構いません。使おうとしたこと自体に価値があります。
5. 無理に矯正しないほうがよい理由
利き足が弱くなることがある
逆足ばかり練習していると、利き足の練習時間が減ります。小学生年代では、まず「武器」を作ることにも意味があります。何もかも平均的より、ひとつ得意なものがあるほうが自信につながることがあります。
フォームが崩れることがある
無理に逆足で強く蹴ろうとすると、体の使い方が不自然になることがあります。これが癖になると、修正に時間がかかります。弱くても正確にが原則です。
サッカーが嫌になることがある
最も避けたいのはこれです。
- できないことを繰り返しやらされる
- 毎回指摘される
- できるまで終われない
この状態が続くと、練習そのものが嫌になります。「両足使えるように」という指摘は正しいのですが、それを理由に子どもを追い込まないでください。
時間をかければ変わる
逆足は、数週間では変わりません。 半年、1年と続けて、少しずつ使えるようになるものです。焦らないことが最も重要です。
6. ポジションによって必要度は変わる
すべての子に同じレベルの逆足が必要なわけではありません。 ポジションによって、求められる度合いが変わります。
サイドの選手
最も逆足が問われるポジションかもしれません。右サイドに右利きの子がいる場合、外側を突破するには利き足で足ります。一方、内側に入ってプレーする場合は逆足が必要になることがあります。ただし、利き足側のサイドで勝負する形も立派な選択です。「サイドだから両足必須」ということはありません。
中央の選手
周りに味方がいる分、選択肢が多いポジションです。どちらの方向にも出せると有利ですが、まずは「止める」ができれば十分なことが多いです。
後ろの選手
逆足で「外に蹴り出す」場面があります。危険な場面で、利き足に持ち替える余裕がないことがあるためです。強く蹴る必要はなく、確実に処理できれば十分です。
ゴールキーパー
意外に思われるかもしれませんが、キーパーも足を使います。バックパスの処理など、逆足を使う場面があります。ただし、優先度は他の技術より低いことが多いでしょう。
ポジションが決まっていない場合
小学生年代では、ポジションを固定しないチームも多くあります。この場合、いろいろな場面を経験する中で自然に必要性が出てくることがあります。焦って特定の練習をする必要はありません。「将来どのポジションになるか分からないから、今のうちに両足を」という考え方もありますが、利き足を伸ばすことも同時に大切です。バランスを取ってください。
7. 学年別の考え方
低学年(小1〜小2)——遊びの中で
この時期は、「練習」の形にしないほうが続きます。逆足でボールを転がす遊び、逆足だけでボール取り、「どっちの足でもできるかな」と誘う——。この時期に「両足使えるように」と厳しく言う必要はありません。 そもそも利き足も定まりきっていないことがあります。
中学年(小3〜小4)——差が見え始める
利き足が明確になり、差が広がり始める時期です。ここで意識して逆足に触れる機会を作ると、後々効いてきます。「今日は左だけ」と決めて練習する、本人が決められる形にする——。この年代は習慣がつきやすいとされています。少量でも毎日続ける形を作れると理想的です。
高学年(小5〜小6)——必要性を理解できる
「なぜ両足使えたほうがいいか」を理解できる時期です。相手に読まれにくくなる、プレーの選択肢が増える、出られるポジションが増える——理由を説明すると、自分から取り組み始めることがあります。納得すれば、本人のペースで進みます。 一方で、すでに癖がついていることもあります。焦らず、長期的に取り組んでください。
8. 指導者に「両足使えるように」と言われたら
まず、意図を確認する
指摘を受けたとき、具体的に何を求められているかを確認してください。
- どの場面で困っているのか
- どのレベルを目指すべきか
- 家で何をすればいいか
「両足使えるように」だけでは、何をすればいいか分かりません。 遠慮せず聞いてください。
家庭でできることを聞く
指導者に相談することは、まったく問題ありません。 「家で何をすればいいですか」と聞けば、具体的なメニューを教えてもらえることがあります。相談を歓迎しないチームであれば、それ自体が判断材料になります。
焦らせない
指摘を受けると、親のほうが焦ることがあります。しかし、逆足は短期間で変わりません。 焦って詰め込むと、子どもが嫌になります。「少しずつやろう」——この姿勢で十分です。
本人が気にしている場合
子どもが「自分は左が使えない」と気にしている場合もあります。このときは、できていることを認めてください。「右は上手だよね」「止めるのはできるようになったね」——否定から入らないことが大切です。
9. うまくいかないときの考え方
半年やっても変わらない場合
それは珍しいことではありません。 逆足は、変化が見えにくい技術です。半年で劇的に変わることのほうが少ないと考えてください。ただし、次の点は確認してみてください。
- 練習が「止める」から始まっているか(いきなり蹴っていないか)
- 頻度は保てているか(週1回では変化しにくい)
- 本人が嫌々やっていないか
特に3つ目が重要です。 嫌々やっている練習は、時間をかけても身につきにくいものです。
本人が諦めている場合
「どうせ左は使えないから」と言い出すことがあります。このとき、否定も励ましもせず、事実を伝えてください。「最初はみんな使えないよ」「止めるのは前よりできてるよ」——できていることを具体的に挙げるほうが、抽象的な励ましより届きます。
一度やめてもいい
取り組みを中断する選択もあります。 逆足の練習が負担になっているなら、しばらく離れて構いません。技術は消えません。数ヶ月後に「またやってみようかな」と本人が思ったときに再開すれば、それで十分です。「毎日やらなければ意味がない」ということはありません。
他の課題を優先してもよい
その子にとって、逆足より優先すべき課題があるかもしれません。
- 顔を上げて周りを見る
- ミスの後に切り替える
- 味方に声をかける
逆足はあくまで技術のひとつです。それだけに時間を使う必要はありません。考える力の伸ばし方についてはサッカーが上手くなる小学生の共通点も参考にしてください。
10. KUGEDO FC Junior の考え方(参考として)
参考として、私たちの立場を記します。
「両足使えるように」と強制はしません
逆足の使用を強制することはしていません。 理由は単純で、強制された練習は身につきにくいと考えているためです。代わりに、逆足を使わざるを得ない状況を練習の中に作ります。「左足だけのゲーム」など、楽しみながら触れる機会を設ける形です。
「なぜ必要か」を説明します
「両足使いなさい」ではなく、**「なぜ使えたほうがいいか」**を伝えます。相手に読まれにくくなる、できることが増える——。理由が分かれば、自分から取り組む子がいます。 指示より説明のほうが動くことは、意外に多いものです。
失敗を咎めません
試合で逆足を使ってミスをしても、責めません。「ナイスチャレンジ、次はどうする?」と、挑戦したこと自体を認めます。ミスを咎められる環境では、誰も逆足を使いません。 安全な選択(利き足)ばかりになります。
少人数だから個別に見られます
各学年15名までとしています(現在は受け入れに余裕があります)。一人ひとりの課題は違います。 逆足が課題の子、判断が課題の子、体力が課題の子——人数が少ないほど個別に見られます。
基本情報
| 対象 | 小学1年生〜6年生 |
| 活動場所 | 川越東高校 第一グラウンド(埼玉県川越市久下戸6060)/駐車場あり |
| 活動日 | 火・水 19:00〜20:30/土・日 18:00〜19:30 |
| 月会費 | 12,000円 |
| 保護者当番 | なし(送迎のみ) |
| 無料体験 | 3回まで/見学のみでもOK |
| 代表 | 山谷和紀(早稲田大学 先進理工学部卒/JFA公認B級コーチ/川越東高校サッカー部 コーチングスタッフ) |
よくある質問
両足同じように使えるようになりますか?
完全に同じにするのは現実的ではありません。プロ選手でも利き足のほうが得意なことがほとんどです。「必要な場面で最低限使える」を目標にしてください。
何から始めればいいですか?
「止める」からです。蹴る練習より先に、逆足で止められるようになることを目指してください。
どれくらいで使えるようになりますか?
数週間では変わりません。半年、1年と続けて少しずつ、というものです。焦らないでください。
毎日どれくらいやればいいですか?
5分程度でも構いません。長時間より、間を空けないことのほうが重要とされています。
本人がやりたがりません。
無理にさせないでください。逆足の練習は地味でうまくいかず、面白くありません。「なぜ必要か」を説明して、本人が納得してからのほうが続きます。
利き足の練習が減ってしまいます。
バランスを取ってください。逆足ばかりで利き足が伸びなくなるのは本末転倒です。小学生年代では「武器を作る」ことにも価値があります。
試合で逆足を使いません。
練習でできても、試合で使うのは怖いものです。一度でも使ったら、結果に関係なく認めてあげてください。ミスしても構いません。
コーチに指摘されました。
具体的に何を求められているか確認してください。「家で何をすればいいですか」と聞けば、メニューを教えてもらえることがあります。
まとめ——完全を目指さない
逆足について整理します。
- 左右差があるのは自然なこと(プロでも利き足はある)
- 目標は「同じレベル」ではなく「最低限使える」
- 「止める」から始める(蹴るのは後)
- 少量を毎日(5分でも間を空けない)
- 無理に矯正しない(サッカーが嫌になるほうが損失)
そして最も大切なのは、焦らないことです。逆足は数週間では変わりません。半年、1年と続けて、少しずつ使えるようになるものです。指導者に指摘されると親のほうが焦りますが、詰め込んでも身につきません。むしろ練習が嫌になり、逆効果になります。
「できないことを繰り返しやらされる」状態を作らないでください。 本人が納得して、少しずつ取り組む形が、結果的に最も早く進みます。
具体的な練習メニューは家でできる自主練メニューと親のサポートに、考える力の伸ばし方はサッカーが上手くなる小学生の共通点にまとめています。

KUGEDO FC Junior 編集部
監修: 代表 山谷和紀/川越東高校サッカー部 コーチングスタッフ




